移住計画

60歳で繰上年金受給−社会保障制度(PhilHealth)

FHN バチ
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こんにちは。案内役のFHNバチです。

今回も『医療』についてのブログ記事になります。

以下のブログ記事の続きです。

リタイア後の収入源の確保は、体力面を考慮すると労働収入から権利収入への移行が必要と考えています。権利収入には印税や株の配当金などがありますが、すでにある程度計算できるのが公的収入である年金です。

年金は65歳からの受給が一般的ですが、2024年の60歳からリタイアし年金生活に移行する予定です。また、リタイアに伴いフィリピンへの移住を計画しています。

前回のブログ記事の中の支出予測表で月5000円を健康保険費用として計上しましたが、この予算範囲で実際にはどの様な保険にフィリピンでは入れるのか、社会保障制度の概要なども含めて調査します。

フィリピンの社会保障制度と民間医療保険

フィリピンの社会保障制度は、他のアジアの国々と比べても古くから法律が整備されていて、主に以下で成り立っています。

  • 医療保険は、フィリピン医療保険公社(PhilHealth/PHIC : Philippines Health Insurance Corporation)
  • 公務員の年金・各種給付制度は、公務員保険機構(GSIS : Government Service Insurance System)
  • 民間被用者の年金・各種給付制度は、社会保障機構(SSS : Social Security System)
  • 貯蓄・住宅融資制度は、住宅開発互助基金(Pag-IBIG/HDMF : Home Development Mutual Fund)

また、軍人には、軍人保険制度(AFPRSBS : The Armed Forces of the Philippines  Retirement and Separation Benefits System)があります。

社会保障機構(SSS)の歴史

年度内容
1954年社会保障法が成立。
1957年社会保障法が施行。
退職年金、遺族給付、障害給付、傷病手当について50人以上の従業員がいる企業を対象に、「社会保障制度(SSS)」が創設。
1958年対象を 6 人以上の従業員がいる企業に拡大。
1960年対象を 1 人以上の従業員を雇用する全ての企業に拡大。
1972年SSS に、医療給付が追加。
1975年SSS に、労災給付が追加。
1978年SSS に、出産休暇手当が追加。
1980年SSS の加入対象者に専門職の自営業者を追加。
1992年SSS の加入対象者に農漁業労働者を追加。
1993年SSS の加入対象者に家事使用人を追加。
1995年SSS の加入対象者に 1,000 ペソ以上の月収がある全ての自営業者に拡大。併せて、無業配偶者および国外で働くフィリピン人(OFW)にも任意加入を認め、国民皆年金制度が確立。
1997年SSS の給付改善、積立金運用方法の拡大のための社会保障法の改正実施。
1998年国民健康保険制度 Phil Health(フィルヘルス)に移管。
2019年SSS の財政安定化のため保険料を段階的に引上げる「共和国法 11199」が制定され、失業保険手当が初導入される。保険料納付期間が3年以上で60歳未満の失業者(自主退職を除く)が対象で、平均月額賃金の50%が最長で2か月給付される。また、OFWを新たに社会保険へ強制加入とし、保障対象は約50万人から250万人規模に拡大。

2019年とごく最近も新しい法律が制定され対象範囲が拡充されていますが、ここからは、1998年にSSSから移管された今回のブログのテーマでもある『国民健康保険制度』について詳しくみていきます。

医療保険制度(フィルヘルス)

公的医療保険制度を運営しているのは、フィリピン健康保険公社(Philippine Health Insurance Corporation(PHIC):フィルヘルス)です。

フィリピンの医療保険制度は1995年2月、前述のSSS、GSIS両制度のうち医療保険部分(メディケイド)を統合し設立されました。

フィルヘルスもSSSやGSIS同様、政府管轄下の機関であり、財源は労使双方の負担による社会保険料、投資活動による資産運用に加え、公的支出(保健省及び地方自治体)から成り立っています。

出典)新興国等におけるヘルスケア市場環境の詳細調査報告書(PDF形式:1,869KB)

PhilHealth(フィルヘルス)に随分と多くの予算が流れているみたいだな〜。

最近よく汚職のニュースを目にするけど、管理体制って大丈夫なの?

汚職をなくす為、ドゥテルテ大統領に権限を強化する下院法案が提出されている様です。

・法案第7832号 2020年のPhilHealth危機法

・法案第7429号 2020年の社会保険危機法

今後も、可決するか注視する必要がありますね。

『加入者』について

法律上は、全国民の加入が求められますが、保険料徴収の主な対象者は、被用者(公私)、自営業者です。

また、『貧困プログラム(Sponsored Program)』があり、フィルヘルスより「貧困」 の指定を受けた場合は、保険料を国と地方自治体が分担しています。

保険適用者は、加入者、貧困プログラム対象者、無償対象者(退職者、保険料支払満了者)及びこれら対象者の扶養家族です。

『保険料』について

標準報酬月額は、労働者が1か月に受け取る給与及び全ての手当を合算した金額を元に、5,000ペソ(約1万円)未満から3万ペソ(約6万円)以上まで、1,000ペソ(約2,000円)毎に27段階に分けられています。

保険料は標準報酬月額の2.5%と定められており、労使の負担比率は、それぞれ使用者1.25%、労働者1.25%の折半となっています。

出典)新興国等におけるヘルスケア市場環境の詳細調査報告書(PDF形式:1,869KB)

−日本人が加入する場合−

フィルヘルスに直接確認していませんが、リタイアメント・ビザ(SPRV)保有者は年間15,000ペソで加入できる様です。

また、その他のビザでも17,000ペソで加入でき、観光ビザの方でもACR-Iカードがあれば加入が可能な様です。

『 給付内容』について

基本的に、『入院医療に係る費用』と『外来医療に係る費用』に対して適用があります。

−入院医療例−
  • 室料
  • 食費
  • 薬剤費
  • 検査費
  • 診療料など
−外来医療例−
  • 薬剤費
  • 検査費
  • 診療費
  • 予防サービス
  • 救急・移送サービスなど

2006年からは、新生児ケアや、マラリア・AIDS患者に対する外来診療等も保険適用となっています。給付は現物給付方式です。

日本では医療機関を受診すると、かかった医療費の原則2~3割を自己負担として窓口で支払います。残りの7~8割は保険者が医療機関に支払いますが、加入者に医療サービスという現物を給付することになるので、現物給付といいます。

医療費のうち、傷病の程度や医療施設のレベルに基づいて定められた一定額が、フィルヘルスより医師又は病院に償還払いされ、同額を超える部分については患者の自己負担となります。

なお、保険は適用者がフィリピン医療委員会(Philippine Medical Care Commission:PMCC) から認定された病院又は手術施設及び保健所(Rural Health Unit:RHU 「貧困プログラム」 のみに対して適用がある)において、保険指定医等による診療を受けた場合に適用されます。

−給付例−

給付額は受診する病院の種類(設備の充実度などを基準にレベル1から3に分類されます。レベル3が最も高度な医療を提供できる病院です。)や医師のランク、また病状により異なります。一般的な目安は以下の通りです。(出典)新興国等におけるヘルスケア市場環境の詳細調査報告書(PDF形式:1,869KB)

日本の健康保険の3割負担と比べるとなんかわかりづらいな〜。

保険料がいくらで、自己負担がどれ位になるんだろう?

はい、そうですね。なかなかわかりづらいと思います。

ドクターズフィーも交渉次第で変わるのが一般的ですので、ブログ記事などで実際の日本人が体験したケースを探してみました。

ケース1):

フィリピン人妻・息子の3人暮らし、高熱で3日間入院し治療費と薬代総額8千ペソ支払ったが病院からの入院費の請求は無く、フィルヘルスが負担。

・ビザ:不明

・保険料(掛け金):家族で年間2,400ペソ(約5,000円)。

・自己負担:8千ペソ

・フィルヘルス負担:不明

ケース2):

脳梗塞で倒れマクタンドクターズホスピタルに8日間入院し、医療費の総額は約20万ペソであったが、その内4万ペソをフィルヘルスが負担してくれた為、実際に負担したのは16万ペソであった

・ビザ:リタイアメントビザ(SPRV)保有

・保険料(掛け金):年間15,000ペソ(月1,250ペソ)

・自己負担:16万ペソ(8割自己負担)

・フィルヘルス負担:4万ペソ

ルソン・ビサヤ・ミンダナオの病院

前述の報告書に代表的な病院のリスト(2015年)が掲載されていましたので、転載します。

また、ダバオへの移住を考えているので、病症に合ったダバオの病院はどこになるのかなど、今後も特に注力して調査を実施する予定です。

レベル1(低機能)病院リスト

レベル2(中機能)病院リスト

レベル3(高機能)病院リスト

フィリピンの民間医療保険

フィルヘルスではカバーされない自己負担費用も多額になる場合がよくある様ですので民間保険にも入っておくと安心です。ここからは、民間の医療保険にどの様なものがあるのか少しだけ調べてみました。

フィリピンの民間生命保険会社

ジェトロがまとめた『ヘルシースタイル』マニラ版によると、フィリピンには31社の民間生命保険会社(保険委員会、2018年)が存在し、民間保険への加入率は、フィリピン全体で1.6%とかなり低い加入率です。

加入率は低いですが、2017年の保険料収入総額の多いのは、Sun Life Financial社が15.8%、次いでAXA Philippines社が12.9%を占めています。

(出典)新興国等におけるヘルスケア市場環境の詳細調査報告書(PDF形式:1,869KB)

『保険料』と『カバレッジ』

加入者の多い2社の保険商品の種類は以下のとおりです。

Sun Life Phのホームページに、『SUN Fit an Well』商品の自動見積もり機能がありました。

前提を、“60歳”、“男”、“喫煙無し”で保険料とカバレッジを調べてみました。入力できた最低保険料は、年間で21,000ペソ(月1750ペソ)カバレッジは20万ペソ(約45万円)でした。

また、上記の前提条件の“保険料”だけを色々変えて見積ってみたところ、カバレッジは大体年間保険料の10倍位でした。

AXAにも似た様な機能がホームページにありましたが、うまく機能しなかったので、ここでは割愛します。

<まとめ>

60歳で年金を繰上げ受給し、フィリピンへの海外移住した場合、5000円という予算で医療保険は十分かどうかをまとめると、

  • 入院や手術を要しない範囲であれば、月5000円の予算でも、フィルヘルスへの加入でほぼカバーできる。
  • 保険でカバーできたとしても、信頼できる医者、設備が整った病院、フィルヘルスに対応している病院を事前に調べておく事が必要。アンテナを張り、2024年まで情報収集を怠らない。いざという時の為に家族と集めた情報を共有しておく。
  • また、入院や手術を要する大病を想定し、最低400万円の貯蓄を確保するか、民間(フィリピン)の保険(保険料:年40万円、カバレッジ400万円)への加入が望ましい。
  • 400万円の確保の目処が立たなければ、海外移住後も日本の健康保険を利用するしかない。よって、一時帰国でも健康保険に加入できる市区町村を2024年までに調査しておく。<参考記事
  • 日本に居住する場合は、年金では家賃が払えず、またフィリピンへの仕送りも必要なので、仕事を65歳までは続けなければならない。
  • フィリピンに移住する場合、日本居住よりも収支バランスはかなり改善するので65歳以前にリタイアが可能であるが、最低でも年金以外に月5万円位の収入を確保したい。
FHN バチ
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今回のブログ記事は参考になりましたか?

フィリピンへの移住は2024年を予定していますので、残日数はまだ1000日以上あります。

その間に気になるテーマに対して調査を行い、調査内容はブログ記事として投稿しています。

11月は年金や医療に関して、12月からは、最近話題になっている暗号資産(仮想通貨)や株式投資などを予定しています。

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